二十四節気

寒さが厳しくなる『寒の内』の始まり


From:渡辺知応

旧暦の12月上旬には二十四節気の『小寒(しょうかん)』がめぐって来る。
新暦でいえば1月5日頃ね。
この日からいわゆる『寒の入り』になるわけだ。
この1月5日の小寒から2月3日の立春までの約30日間を『寒の内』という。
1年の中で最も寒さが厳しい時季を迎えることになるんだよね。

さて、そんな小寒の間にもちょこちょこ節目があるのだ。
まず、4日目を『寒四郎』といい、9日目を『寒九』とよんでいたんだ。
これは昔の農村の人々が、とくに小寒の寒さを警戒していたことの表れなんだよね。
『寒四郎』は農村の厄日に数えられ、この日の天候によってその年の穀物の豊凶が占われていたようだ。
また、『寒九』の日に降る雨は豊作のきざしと信じられてきた。
そしてこの日に飲む水は『寒九の水』といい、薬になるとも言われていたんだよね。
だから、薬を飲むのによいと信じられてきたんだ。
暖房器具もない時代、農村の人々は、寒さきびしき折にも動物のように冬眠できるわけではないので、絶えず自然の変化や力に意識を向け、日々の動向を見守っていたと言えるよね。

小寒の初候は新暦の1月5日〜9日ごろにあたり、この時期を『芹乃栄(せりすなわちさかう)』という。
湿地や水辺に生える『芹(せり)』は、『春の七草』の1つに数えられているでしょ。
新暦の1月7日は七草粥を食べる『人日(じんじつ)』という五節句の日だが、旧暦の人日には、あと1ヶ月あまり待たなくてはならないわけだ。
と、この話をすると長くなるので、機会を見てまたおはなしたいと思うのでここでは割愛ね。

小寒の次候は新暦の1月10日〜14日ごろにあたる。
この時季は15日の小正月の前日を祝う『十四日年越し』とよばれ、簡単にいえば小正月の大晦日ってことね。
旧暦のこの時季は『水泉動(すいせんうごく)』というんだ。
この言葉には地中で凍った泉がそろそろ湧き出す気配に期待を秘めた思いが込められているわけだが、、、
まぁ、この時期に泉の水がとけ出すわけがないよね。
しかし、現代とは冬の厳しさが比較にならなかったことを考えれば、どれほど春を待ちわびていたことか、、、その気持ちも分からなくわないね。

ちなみに1月15日の小正月は別名『女正月』ともいい、家業で正月早々働くことになってしまった女性のための休日でもあるわけなんだ。
この時にお嫁さんは実家に帰省したりしていたそうだ。

小寒の最後、末候は新暦の1月15日〜19日ごろ。
この時季は『雉始雊(きじはじめてなく)』という。
実際のところ、日本で雉が鳴き始めるのは新暦の3月〜4月頃だよね。
それなのに小寒の終わりを告げるのに雉の鳴き声を入れるとは、、、
いいから早く春よこい!と切なる願いが眼に浮かぶよね。

何はともあれ、新暦では1月5日〜19日までを小寒というが、旧暦ではまだまだ年が明けていないわけだ。
この新暦と旧暦を把握すると日本の習慣や風習が理解できて面白くなってくる。
また、旧暦でなければ分からない日本の歴史なんかもあるんだよね。
小寒が過ぎると次は『人日』がやってくる。
まぁ、この話はまたこんど!

 

ピックアップ記事

  1. なぜお墓は石で作られているのか?
  2. 敷居や畳の縁を踏んではいけない理由
  3. 『えんがっちょん!切ったー!』のあの指のジェスチャーってどんな意味があるの?
  4. 近代家族の特徴と盲点
  5. トイレに唾を吐いてはいけない理由

関連記事

  1. 二十四節気

    ツバメの巣に初恋の終わりを重ね合わせる季節の言葉とは?

    From:渡辺知応 江戸時代の『暦便覧こよみびんらん』には、…

  2. 二十四節気

    雨季でもないのに『雨水』という言葉をなぜ春の季節に用いたのか?

    From:渡辺知応 寒い日が3日続くと、その後の4日くらいは…

  3. 二十四節気

    日本人にとっての『夏の季節』が3パターンあるって知ってた??

    From:渡辺知応 5月5日は子供の日でもあり、端午の節句で…

  4. 二十四節気

    春を心待ちにする人々の気持ちが最高潮に現れた言葉?!

    From:渡辺知応 旧暦二月の初冬にめぐって来る二十四節気に…

  5. 二十四節気

    百穀を潤す恵の雨の『穀雨』と魅力的だけどめっぽう強い女性たちの意外な共通点

    From:渡辺知応 思えば、日本という国は年中雨が降っている…

  6. 二十四節気

    『暑さ寒さも彼岸まで』は単なる気候の変化だけではなかった

    From:渡辺知応 二十四節気にじゅうしせっきを知らなくても…

ピックアップ記事

過去の記事

  1. 日本の禁忌(タブー)

    庭に植えてはいけない植物とは?
  2. 四字熟語

    漢字で書くよりカタカナ語の方がわかりやすい、、、
  3. 日本の風習

    『向こう三軒両隣』とは?
  4. 四字熟語

    人生とは喜び、怒り、哀しみ、楽しむ、の繰り返し
  5. ことわざ

    『犬が歩く』ことわざといえば、、、
PAGE TOP