日本の風習

鬼を祓う役だったのに、その姿が異様で奇怪すぎて鬼になった話


From:渡辺知応

1年の初めという意味で、正月と立春の行事に共通する特徴が3つある。

1つ目は旧年に蓄積した災厄や塵芥(ちりあくた:とるに足りない値打ちのない物)などの禊祓(みそぎはらえ:心身を清める行為)

2つ目は新生な生命力を得る年取り

3つ目は新しい年を良い年にしたいと願う祈願と招福

結論から言えば、これら3つが同時に行えるのが春の節分の豆まきなんだよね。
豆まきは祓え清めの行事であり、年の数より1つ多く豆を食べるのは年取りの意味があるわけだ。
豆には霊力があると考える穀霊信仰がその背景にある。
それは人々の生活に危険をおよぼす災厄や邪気などを鬼に見立てて、豆の力で追い払う意味があるんだよね。

では、いつの時代から節分の鬼と豆まきの習俗が見られるようになってきたのか?
その歴史を調べると応永32年の室町時代のにまでさかのぼる。
いつだよって声が聞こえそうだ。。。今から数えると592年前ね。
その年は1月8日が節分だったと伏見宮貞成親王の日記に書かれてあるそうだ。
その日記の内容に、『鬼大豆打』と書かれている。
つまり、鬼を豆で大きく打つぞ!と書かれているわけだ、
現代の豆まきと鬼の風習につながるものだとわかるよね。

で、さらにその日記を読むと面白いことが書かれている。
朝廷内の豆まき実行委員の担当に若い上級官人が指名されているのだが、、、
やたら嫌がっているそうなのだ。
きっと担当になった官人は人の災厄や穢れを受けることが本当に嫌だったのだろう。
また、別のところでは、豆まきの役は厄年に当たる年男が務めるものだとも書かれいる。
その後、江戸時代になると庶民の間でも豆まきが盛んに行われるようになった。

しかし、古代から邪気や疫鬼を追い払う行事は節分よりもむしろ大晦日の晩におこなう追儺の行事だった。
ちなみに追儺(ついな)とは鬼祓いのことを言うんだよね。
この行事は古代中国が起源で慶雲3年の平安時代からだそうだ。
いつだよって声が聞こえそうだ。。。今から数えると1311年前ね。

で、この頃はの追儺の行事は方相氏(ほうそうし)と呼ばれる鬼祓い役がいたそうだ。
頭には角の生えた熊皮をかぶり、黄金の四つ目の仮面をつけて、黒い衣服に朱の裳(も)と呼ばれる着物の一種を着て、右手には戈(ほこ)、左手には盾(たて)を持った、若干、、、と言うかかなり異様な扮装をしたものが中心となり鬼を祓う儀式に挑んだようだ。
私が思うに、と言うか、初めて見たときは、、、
これが鬼役か、、、え?やっつける方なの?!?!と驚いたものだ。

きっとあなたもそう思うだろう。。。

で、紺色の布衣を着た侲子と呼ばれる者を20人引き連れて大内裏の東西南北の四門をめぐったそうだ。
方相氏が大声で追儺の文句を発すると、桃の木で作った弓やら杖で悪鬼や疫病を追い払う行事だったのだ。
でた、鬼退治に付きものの桃ちゃん!

しかし、先ほどの私の感覚は間違っておらず、、、
この方相氏が異様で奇怪な姿だっため、平安時代の中期から末期にかけて、逆にこの方相氏が鬼と見されて追い払われる形になったのだ。
まぁ。。。なんとなく納得するわ。
だってこんなお顔だもん。。。

ちなみに、方相氏さんの名誉にかけて言っておきますが、、、
今でも方相氏は鬼を退治するヒーローとして健在しています。
歴史上でも方相氏が鬼だったという誤った解釈があるので訂正せよ!となっ手斧です。

とまぁ、こんな背景があって今の鬼と豆まきの歴史が作られたわけだ。
ちなみに、西洋では鬼と同じような立ち位置で悪魔が取り上げられるが、全く別物だということも忘れてはいけない。

鬼の語源は隠(おん)が転じてできた言葉なんだ。
誰しも隠れている心があるから人間でいれるわけで。
裏も表もない本性丸出しで生きていたら動物と変わらないもんね。

 

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