二十四節気

なぜ、この寒い季節を『立春』と呼んだのか?


From:渡辺知応

旧暦の1年は二十四節気の一つである『立春』から始まるんだよね。
立春は冬至の日と春分の日のちょうど中間に当たる時季で、新暦では2月4日頃になるわけだ。

『春』と言えば、新芽の香りを含んだ暖かい風とうぐいすの鳴き声が心地よく響き渡る。
そんなイメージを持っている方がほとんどだと思うけど、、、
ことさらこの立春を迎える2月初頭にそんな雰囲気はまずないよね。
仮に鶯の鳴き声が聞こえてきてもたどたどしい『笹鳴き』だろう。
まだまだ寒い日が続く今日この頃だ。
と、いうか1年で一番寒い期間だよね。

では、どうして昔の人はこんな寒い時季を『立春』と呼んだのか?
確かに、、、そう言われれば気になる。。。と思った方も多いはずだ。
よっしゃ!ちと紐解いてみようぜよ。

まずもって、昔の人の立春の意識は『春を待つ思い』と大いに関係があるようだ。
つまり、旧暦では気温が最も低くなる2月始めのこの時季に、いまにも春が到来する希望が最高潮に達する時季とみなしていたわけだ。

春の訪れを期待する気持ちがわかるのが、二十四節気をさらに三等分した七十二候の区分からも読み取れる。

まず、立春の初侯は新暦の2月4日から8日で『春風解凍はるかぜこおりとく』という。
呼んで字のごとく、そろそろ春の風が分厚い氷を解くぞ!という希望的観測の現れが見えるよね。

次候は2月9日から13日で『黄鶯睍睆うぐいすなく』と読む。
なんだなんだ?こんな漢字習ってないぞ、、、と言うかふり仮名ふってなきゃ読めもしない。
そういいたくなるような漢字の配列だよね。
これは、簡単に言えば、そろそろ鶯が山里で鳴き始めるぞー!といった意味である。
また、冬蘢りしてた虫が動き始めることも意味しているそうだ。
漢字がわからないから全く想像できないよね。

そして末候は2月14日から18日で『魚上氷うおこおりをのぼる』という。
これは呼んで字のごとく、おっ!?氷が割れそうだ!ちと飛び出てみるか!と寒い水から魚が飛び跳ねる様子を言った言葉である。
また、この時季に水に張る氷を『蝉氷せみごおり』と呼ぶ。
春を通り越して夏の代名詞でもある蝉が出てきてしまった。
本当に寒いのが嫌だったんだね。。。
で、なんで『蝉氷』と呼ぶのかというと、『蝉の羽のように薄い氷』という意味だそうだ。
きっとこの時季の氷はそんなに薄くないと思うが、こちらも希望的観測を込めての言葉とも言えるよね。

と、まぁ、季節の移ろいを表す昔の言葉には、自然界への鋭い観察眼が感じられるわけだ。
昔の日本人は、それほど春を待ち焦がれていたことだということがわかるよね。

立春をまとめると、暦の上で春と言えどもまだまだ寒い。
そんなことはわかってる。
だから早く暖かくなってほしい。
ましてや夏までワープしても良いぞ!
と、昔の人は春の訪れを期待していた時季が『立春』というわけだ。

さ、新暦も旧暦もこれでハレて新年となったわけだ。
新暦の新年に今年の目標を立てた人も多いはず。
で、その目標に向けて、その行動の第一歩をまだ実行できていない人も多いはず。
大丈夫。みんなそんなもんだ。
『立春』である今日を良いきっかけに気持ち新たにスタートさせてみてはどうかな?

 

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