日本のしきたり

犬と安産を結ぶ、知られざる秘密


From:渡辺知応

 

以前、中山法華経寺で勤めていた時。
今日は、やけに安産祈願を受ける人が多いな…
と思っていたら、、、

ふと暦を見ると、戌の日でした。

祈願を受ける方に『今日は戌の日だから安産祈願に来たのですか?』
と尋ねると、だいたいの人が『はい。』と答えるのですが、、、

中には、『えっ?戌の日って何ですか?今日来たのはなんとなく、この日が良かったからです。』と答える人が少なからずいました。

戌の日の説明を軽くすると、『わー!そうなんですね!縁起の良い日でよかった〜♬じゃー犬が丈夫な子を連れてきてくれますね〜♬』と答える人もいました。

ふむ。犬が連れてくる。。。か…。

まぁ。間違ってはいない。と今なら返答できるけど、当時はまだなぜ『犬』なのか知る由もありませんでした。

一般的に戌の日が安産に縁起がよいとされているのは、犬はお産が軽いと言われているからですよね。
しかし、実際は犬だけがとりわけお産が軽いわけではないらしいのです。

新潟県中魚沼群の伝承では、熊を初めとして、動物全般は総じてお産が軽いものが多いと言われているそうです。
なので、この地方では、熊の胆を腹帯に入れておく風習が存在すると言われております。

その中でも犬だけがお産が軽いと強調されるのは、人間の生活にとても近い存在だったことが大きな理由の一つだと考えられています。

 

犬は誕生や葬送に関わる習俗のなかにもたびたび登場してくる。
たとえば生児の初外出の際にも、生児の額に犬の字を書いて出るという事例が知られており、また、葬送習俗にあたっては、死者にかける頭陀袋の中にオヒネリ(洗米)や米ぬかを入れてやり、これを死者が死出の旅路を行きながら犬に出会ったときに食べさせたり、なめさせてりするのだという伝承も存在する。

(出典:「イヌ」をめぐる民俗/菊池健策)

 

なるほどなるほど。
興味深いですね。

少し話はそれますが、犬が登場する最も有名な日本の話は『桃太郎』ですよね。
鬼という死を脅かす存在に立ち向かい、平和に生きる日常を取り戻す為、鬼退治を決行する桃太郎。
そのメンバーの中でも実行部隊として犬がいますよね。

また、ここ掘れワンワンの『花咲か爺さん』にも犬が登場しますよね。
ここでは物語の内容は割愛します。が、、、

この物語のキーパーソンがなぜ犬なのか?
気になる方はこの記事を最後まで読んでから、『花咲か爺さん』を読み返してみて下さい。

犬が関わる話は、日本だけでなく、ギリシャ神話、北欧神話、インド神話、ケルト神話、グリム童話、イソップ物語などにもたびたび登場します。

それぞれの物語に出てくる、犬の役割をよーく見ていくと、、、
『生と死』に関わっている重要なポジションを担っているのが犬なのです。

また、昔話や神話、童話、物語でなくても、最近のニュースやTV番組をみていると、世界各国で『犬が人を助け、一命を取り留めた。』なんて話はよく取り上げられますよね。

ちょっと話が脱線しました。
話を安産と犬に戻します。

民俗学者の菊池健策氏はこうも言っています。

 

犬があの世とこの世の境界にあってその境界を往来すると考えられていたことがうかがえる。
戌の日に腹帯を巻くのは、犬のお産が軽いイメージと同時に、犬が人の霊魂の行き来に関わる動物であるという民俗信仰が深く関わっているのである。

(出典:「イヌ」をめぐる民俗/菊池健策)

 

あらら。また境界ってキーワードが出てきましたね。
民俗信仰には『境界』が深く関わってきまよね〜。

犬があの世とこの世の境界をつなぎ、霊魂の行き来に関わる動物ですか、、、
まぁ、これはあくまで、昔からある伝承や風習であって、科学的には何の根拠もありません。

が、、、

この風習が今も脈々と受け継がれ、『安産祈願=戌の日』という図式が成り立っているのは明らかだと思います。
さてさて、どうでしたか?今回の犬の話。

 

 

あー。そうだそうだ。
犬と言えば、CMでお馴染みのあの『白い犬』

あの『白い犬』がCMの中心になり、人間の言葉を話す。
客観的にみると、不思議なCMですよね。

通信会社、大手3社のうちの一つのあの会社は、、、
親会社が立ち代り入れ替わりしても中々経営が上手くいかなかった期間があります。

ですが、、、

素人目で見ても、瀕死の状態だったあの頃と比べれば、今では各地に店舗ができて、生き生きとしていますよね。

信じるか信じないかはあなた次第です。

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