日本のしきたり

塩や米糠は、どうして清めの品に使われるのか?


From:渡辺知応

 

よく、BARとか個人経営の居酒屋さんの入り口に盛り塩があるのですが、、、
あなたは見かけた事はありませんか?

はたまた、大相撲の取り組みの前の光景で、、、
升に入った盛り塩をガバッと一掴みして、土俵にバシッと撒く力士の姿は誰でも想像できると思います。

お通夜や告別式に参列し帰宅した時。
玄関の前で背中や肩に塩をふりかけて家に入るのは当たり前の事かと思います。

つまり、、、

『塩=清める』
これは多く人の脳内にインプットされていると思います。

日本各地で塩を用いて不浄を祓ったり、洗い清めたりする事例が数多くのこっています。
また、塩と『米糠(こめぬか)』を混ぜて使う地域もあるようです。

以下は香川県大川群長尾町での風習です。

湯灌後に米糠と塩を混ぜたもので手を洗い清めとする。湯灌をした人は庭に出て同行(近隣の家々からなる葬式の直接的な執行組織)の人から米糠と塩を混ぜたものをひとつまみ手の中に入れてもらい、逆さ水で手を洗う。米糠と塩の割合はとくに決まっておらず、米糠が塩より多い。米糠は農家で米をつく時に出るものを用いるが、米糠がない場合は、農協から購入したり、近所で分けてもらう。
(出典:香川県に伝承される米糠/太郎良裕子)

とのことです。

なるほどなるほど。
この地域では、塩も使いますが、それよりも米糠の方が重要だという事ですね。

岡山県のある地域では、米糠と塩を混ぜたものを背中や肩に振りかけるそうです。
では、なぜ米糠を使用するのでしょうか?

民俗学者の太郎良裕子氏は自身の著書の中で以下の様に書いています。

米糠は、人々の日常生活の中で糠漬け、肥料、飼料、石鹸の代用品などとして有効に利用されてきた。事実、これらの地域では、戦後、石鹸が普及するまで、糠袋を石鹸代わりに使っていた。米糠を木綿袋の中に入れた糠袋で床を磨いたり、顔や体を洗うという。米糠の洗浄力を利用してケガレから身を清めるという作法につながった。
(出典:香川県に伝承される米糠/太郎良裕子)

なるほど。色々と合点がいきますね。
歯磨き粉がない時代、口の中を清めるのも塩でした。
殺菌効果があるとかないとか、、、

米糠も同じ作用があると信じられてきたのですね。

米糠の原材料である『米』
日本人が愛してやまない『米』には色々な秘密が隠されているのです。
お米についてはまた今度、詳しくお話しますね。

ただ、覚えていて欲しいのは、、、
ここ日本では、この『米』に、とてつもない霊力が宿っていると古くから信じられている、という事を脳内の片隅にでも置いておいて下さい。

さて、米を生産、精製する過程で産出される副産物がもう一つあります。
藁(わら)です。

そうです。あの藁人形の『藁』です。

次回はこの『藁』についてちょっとしたお話があります。
楽しみにしていて下さい。

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  1. 2016年 1月 21日

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