From:渡辺知応
『つつがなくお過ごしのこと存じます。』と言った具合で手紙を書き出すことがあります。
この『つつがない』とは何事もなく無事であるということ。
相手の無事を確認し、願う時に使います。
さて、『つつがなく』を漢字で書くと、、、
『恙無く』となります。
ほぉ。あまり使わない漢字ですね。
この『恙』は『ツツガムシ』というダニの仲間だといことを知っている人はあまり多くないはずです。
ツツガムシは日本をはじめ、東南アジア諸国に発生するダニ目の虫。
日本では秋田、新潟、山形などの川に生息していることで知られているようです。
で、この虫に刺されると『ツツガムシ病』にかかります。
頭痛、食欲不振、発疹などの症状が出て、、、
かつては死に至ることも多かったそうです。
マジか、、、
このようなことが起こっていた時代に『つつがなく』という言葉は生まれました。
つまり、ツツガムシがいないことは、何事もなく無事であるという意味で使われるようになりました。
手紙の書き出しに『お元気のことと・・・・』とか『ご健勝のことと・・・・』とかに変えて、冒頭のように『つつがなく・・・・』を使うと、奥ゆかしさが出るというものです。
いまだに『恙無く・・・・』と漢字で書く手紙をたまに見受けます。
美しい日本語ですね。使う機会を伺います。