From:渡辺知応
顔をしかめて泣き顔をすることを『泣きべそをかく』とか『ベソをかく』と言いますよね。
この場合の『カク』は、汗をかく、いびきをかく、恥をかくと同じように外にあらわすという意味を持っています。
さて、ベソとはもともと、、、
『ベシ口』という語からきています。
または『ヘシ口』とも言います。
つまり、ベシがベソと変わったのであります。
ではベシクチのベシとは何か?
この答えは江戸時代の言葉を集めた『俚言集覧』によると、ベシというのは能面の大癋見(おおべしみ)の面(『大圧面(おおべしめん)ともいいます』)、つまり天狗に用いるお面のことをいいます。
天狗のお面は口をへの字につぐんでいますよね。
そのように口をへの字に結ぶことがベシだといいます。
この様子はちょうど子供が泣く顔付き、泣きっ面に似ています。
ベシ、またはヘシは漢字で書くと『圧』の字を用います。
『圧す』は押さえ付けるという意味ですよね。
つまり『ヘシ口』のヘシは『押し合いへし合い』や『へし折る』などの『ヘシ』がそれにあたります。
従って、『ヘシ口』は口を『へ』の字のようにしてつぐむこと、またその口を指す言葉ということになります。
そのようなへの字のヘシ口を作ることから、『ベソをかく』ことを『ベソヲツクル』ともいいます。
さて、前半はここで終わりです。
後半は、『ベソをかく』と『へそくり』の共通点について書きたいと思います。
それでは次回をお楽しみに!