From:渡辺知応
先日、朝の情報番組『ZIP!』を見ていたら、即興でラップを作って歌うことが出来るという方がでていた。
ちなみにラップとは音楽手法やのひとつで、歌詞の中の言葉に韻を踏みながら、言いたい事のキーワードを繋げていく歌唱法です。
あまりメロディを付けずに、リズミカル、かつ喋るように歌う方法の事をいいます。
と、まぁ日本の縁起かつぎの基本にはまず言葉の信仰があります。
祝宴での、めでたい料理には昆布巻きやタイのお頭付きが定番なのは、喜ぶの『こぶ』や、めでたいの『タイ』への連想があるからですよね。
この発想は、人の名づけや物の名づけにもよく現れています。
例えば『美智子』という名前。
美しく知性豊かな子に育つようにという親の願いがこめられています。
『万世橋』にはよろず世の願い、つまり『限りなく長い年月かかる橋になるように』という願いある。
どれも、そこにはよい名前が幸運をもたらすに違いないという思いがあります。
この音のアナロジーと呼ばれる類似力には俗に、『語呂合わせ』と言って古くから日本の文化に深く浸透してきました。
古典的に言うならば『言霊』という事になりますね。
言葉には霊力が宿るという『言霊信仰』とい考え方があります。
良い言葉には吉事をもたらすし、不吉な言葉には凶事を招くといわれるものです。
この考え方から様々な『寿詞(ほぎごと)』や『忌詞(いみことば)』が発生しました。
この詞を読む際にも、吉事が起こるようにと気持ちを込めて寿詞を読むそうです。
しかし、その逆に凶事が起こると言われる忌詞は恐れ多いと口に出すだけで周囲から嫌われるキーワードがありました。
日本の宗教観は仏教が大多数を占めていますが、やはり言葉の力を信じる気持ちがなくては始まらないと言われています。
と、いうよりどの宗教であっても言葉への信仰は変わりませんよね。
仏教はお経を読む『読経』ですし、神道は祝詞、キリスト教は賛美歌、イスラム教はコーラン。
いずれもそれぞれの宗教の教えのその言葉の力によって仏や神の恵みを信じています。
縁起をかつぐといわれる、日本の語呂合わせなど身近な言葉を紐解くと、深いところで日本人の宗教観とつながっている事があるのです。