From:渡辺知応
思えば、日本という国は年中雨が降っているよね。
初夏には梅雨があり、秋には長雨が降り、春のなかばには菜種梅雨の季節になるわけだ。
ちなみに『菜種梅雨』とは、菜の花が咲いていることからきた名称なんだよね。
さてさて、春のこの時季の雨は、霧のように細かく、そしてやわらかく降るよね。
新国劇の戯曲『月形半平太』で、半平太が口にする「春雨じゃ、濡れて参ろう」という台詞そのものだ。
つまり、傘をささずに歩きたくなるような心地の良い雨ってことね。
この時節は、百穀を潤す雨が降るという意味で、二十四節気では「穀雨』というんだけど、、、
新暦4月20〜24日ごろに当たる初候は『葭始生」という。
足葺の屋根、葦簀張り、といったいった言葉で知られる葉の長い水草、葦が映える時節のことなんだ。
上古の日本は、『豊葦原の瑞穂の国』と呼ばれていた。
つまり、豊かに葦の生い茂る、みずみずしい稲穂の実る国と呼ばれていたほどで、いたるところに葦が群がり生えている国だったんだよね。
ちなみに『葦』の元々の読みは『あし』だが、、、
それが『よし』とも読むようになったのには理由があるんだよね。
まぁ、色々な役に立ってくれてる『葦』が『あし』=『悪し』となっては、葦に申し訳ないという理由がある。
日本人はなんとも言えない律儀があるよね。
新暦4月25〜29日ごろに当たる次候は『霜止出苗』という。
ようやく霜が降りることがなくなり、稲の苗がすくすくと育っていく様子を表した言葉なんだよね。
しかしながら、『八十八夜(立春から数えて八十八夜目)の別れ霜』という言葉もある。
つまり、この時節はまだまだ夜に冷え込んで霜が降りる『寒の戻り』があるので油断は禁物だよ。ということ。
ちなみに『終霜の日』は、京都市で新暦4月9日、青森市では新暦5月3日とされているんだよね。
そして、最後は新暦4月30日〜5月4日に当たる末候は『牡丹華』
古くから観賞用や薬用に栽培されてきた牡丹がこの時季に開花するわけだが、、、
牡丹の花の色は赤、紫、白、薄紅などがあるけど、やっぱり代表的な色は赤だよね。
『立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花』
といった美しい女性を表している言葉もあるよね。
まぁ、牡丹の漢字をよくよく見てみると『牡』はオスを表す漢字にほかならない。
なんとも、この不思議な漢字表記を、一体どう解釈したらいいのだろうか?
謎だ、、、
とりあえず『男性のように烈しい情熱を持つ美女』とでも解釈しておこう。。。
しかしだよ。『男性のように烈しい情熱を持つ美女』というのは、古今東西の神話、戯曲、史実の中に数多く出てくるよね。
ギリシア悲劇のエレクトラ
日本神話のアマテラス
平安の女武者 巴御前
フランスの女騎士ジャンヌ・ダルク
朝廷討伐を主導した北条政子
スペインの無敵艦隊を破ったイギリスの女王エリザベス一世
現在進行形の東京都知事 小池百合子、、、などなど
いずれも、めっぽう強くて魅力的な女性たちだよね。
そしてある意味、男性よりもコワイ。。。
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