日本の風習

日本独自の『家』の意識。家族と家系の違いとは?

From:渡辺知応

私たちは日頃、『家』と『家族』そして『家系』をそれぞれあまり区別せずに使いっています。
よくよく考えるとそれぞれニュアンスが異なるのですが、その違いがいまいちわかりにくいようです。

例えば、『河端さんの家は4人家族だ』という場合は、、、『家』ではなく『家族』をさします。

ですが、『河端さんの家は周りに森があり、すごく広い』という場合は、屋敷や建物または敷地を指します。
つまり、『家』という事ですね。

そして、『河端さんの家は代々お坊さんの家系だ』という場合。
これは、時間や歴史を刻み、権利、財産、地位などを含む、社会的集団を指します。
つまりこれが家柄であり『家系』という事になりますね。

この家系こそが日本独特の『家』の概念なのです。
民俗学では『イエ』と呼ぶそうです。

この『家』の考え方は室町時代から戦国時代にかけて作られた、庶民階級に基づきます。

例えば、農民の場合は農地という財産を授かり、田畑を耕す事を生業とする権利を得ました。
その後、多くは男性の子孫が代々継承し、周りからは『あそこのイエは農業の家系だ』と認識されます。
家族単位で農業経営を永続的に営む事が一般的とされてきました。

そして、明治民法の『家督相続』の規定ができ、この『家』制度が受け継がれていきました。

商売などの生業だけでなく、宗教観も同じように受け継がれていきました。

なので、初めて会った人との会話にて、、、
『家はどんな仕事をしているんですか?』
と同じくらいの頻度で、、、
『宗派はどこですか?』
といった会話になる事があります。

まぁ、こんな会話をするのは私の職業柄なのかもしれませんが、この宗教観を受け継ぐ事も日本の『家』の大きな特徴です。

この事を『祖先祭祀(そせんさいし)』と言います。
先祖は『家』のシンボルとしての意味を持ちます。
永続的に子孫に祀られることが理想とされていていたため、『家』の永続は絶対条件とされてきました。

この考え方は現代では少し薄れてきましたが、、、
それでも『いやー。息子の代で家が途絶えてしまうですよ。』といった言葉を聞くと、今も脈々と日本の『家』意識が受け継がれているんだな、、、
と思います。

そして先祖はお墓によってさらに象徴化されました。
お墓を守ることが祖先祭祀の具体的な実践と位置付けられたのです。

日本の『家』意識は潜在的には各々の頭の中に染み込んでいますが、今後はどんどん薄れていきそうな気がします。
各々が自分の『家』を意識していただきたいと思ういながらこの記事を書いている、今日この頃です。

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