日本の風習

あなたは祭壇に何を残しますか?


From:渡辺知応

私たちは、お通夜やお葬式においてよほど親しい人が亡くなった場合でない限り、故人の顔を見る事はあまりないと思います。
柩(ひつぎ)が安置された祭壇にある遺影や位牌などに手を合わせ、冥福を祈る事がほとんどではないでしょうか。

このような形の祭壇が使われるようななったのは昭和初期からなのです。
しかも仏式の葬儀でよく見かける白木の彫刻祭壇は昭和30年代以降に広まった風習なのです。

それ以前はどうだったのか、、、
明治大正期の大都市において、葬儀の中心的儀礼は『葬列(そうれつ)』でした。
柩を納めた輿(こし)や駕籠(かご)、そしてそれを担ぐ人にお金をかけていました。

当時の葬儀社はこうした装具や人を手配する事が仕事でした。
祭壇を用意するにもせいぜい香炉(こうろ)や燭台(しょくだい)、お供え物程度の簡単なものだけでした。

しかし、時代の流れとともに葬列が廃止され、それに変わって寺院や自宅にて葬儀が行われるようになりました。
このあたりから『告別式』という言葉が生まれたようです。
多数の弔問者が訪れるという事で、『見せるための祭壇』が発達していきました。

葬儀社の仕事も葬列の手配から、祭壇の手配や役所への届け出、納棺の手伝いなどサービス業の要素が大きくなっていきました。

こうしたサービス的な仕事を含めた葬儀の費用は、祭壇のランクによって総額の値段が決められるようになっていきます。
祭壇の豪華さが葬儀の豪華さになり、それが葬儀の規模と比例して、故人や遺族家系の社会的地位を表すようになっていったのです。
例えば、青山斎場でホール一面に花祭壇を施した著名人の葬儀などが良い例ではないのでしょうか。

このことからわかるように、葬列の葬儀という死者をこの世からあの世に送り出す儀式から、死者との別れをする告別式の儀式に移っていったのです。
現代では家族葬や直送といって簡素に済ませてしまうこともありますが、それでも故人の最後には祭壇を備えて送り出したいと思う人が多いのではないでしょうか。

また、社葬や著名人などの葬儀などでは、生花を使った花祭壇が多用されます。
これは自由に祭壇を設計できるので、生前の故人や会社の業務を表現できるので、残された人たちにはとても好まれているようです。

『まずは臨終の事を習うて、後に他事を習うべし』日蓮聖人もそう言っています。
自分らしい祭壇とはいったなんだ?
この事を考えるだけでも生きる力を得るヒントになります。

さて、あなたは自分の祭壇に何を残しますか?

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