日本の風習

意味不明の読経と意味がわかりすぎる家族の悲しい叫び

From:渡辺知応

今回は新谷尚紀氏の著書『なぜ日本人は賽銭をなげるのか』から、、、
『読経と弔辞』という記事をまるまるシェアしたいと思います。

現代日本の葬儀の特徴だと新谷氏は言っていますが、、、
これを読み終えた後、あなたは何を思いますか?

それでは本文をどうぞ。

『読経と弔辞』
先日、東京都多摩地方の友人の母堂の葬儀に出席した。
むかしは自宅で葬儀を行ったが、いまは業者の運営する葬祭場で行うのが多摩地方でも多くなっているという。

親族や故人に近い関係者一同が葬祭場に着席し、多くの参列者は後方で立ったまま、ジャランボンという鐃鈸(にょうはち)の音が響き、僧侶の読経が始まる。
近くの臨済宗寺院の住職が導師をつとめ、授戒と引導の読経が行われた。
『大悲咒』が読まれ「回向文(えこうもん)」が唱えられるなどしてかなりの時間が流れる。

しかし、よく考えてみると不思議だ。
僧侶の口から発せられている経文の意味は、ほとんどの人に理解されていないのだ。
死者が仏弟子になり修行の道に入り自己の仏性に目覚めるようにとという、その意味は伝わってはこない。
ただ意味不明な独特の音韻だけが流れているだけ。
そして、それが長ければながいほどまたありがたいのだ。

そのあと、故人の仲間の人によって追悼の弔辞が述べられ、別れを惜しむ詩吟の同好会の人たちの吟詠が行われた。
これはみんなに理解され涙ぐむ人もでてきた。

しかし、何よりも人々の涙をさそったのは、残された八十歳を過ぎたご主人が棺にすがりつき
「ありがとう、ほんとうにありがとう。いっぱい世話をかけたねぇ」
と涙声であたりはばからず、愛する老妻との別れを身体いっぱい悲しんだ時である。

意味不明の読経と、意味がわかりすぎる家族の悲しい叫び、この奇妙なつりあい、これこそ現代日本の葬儀の特徴なのである。
(出典:なぜ日本人は賽銭を投げるのか/新谷尚紀)

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