From:渡辺知応
『多岐亡羊(たきぼうよう)』という四字熟語があります。
あまり聞きなれないことばですが、意味を知れば使いたくなる四字熟語です。
このことばは例え話になっています。
まず、、、
羊が一頭いなくなります。
その羊を一家総出で追いかけます。
追いかける途中で道が分岐しているので、二手にわかれます。
しかし、その先でもまた分岐があります。
道があまりにも多く幾多にも分かれているので、、、
とうとう羊の行方を見失ってしまう。
といった話を『多岐亡羊』といいます。
さて、試験やクイズの答え方に択一式というものがありますよね。
あらかじめ答えらしきものが幾つか用意されていて、その中から一つの正解を選ぶ形式のことです。
選択肢の数が少なければ、サイコロを振っても正解にあたることがありますが、、、
しかし、選択肢が多くなればなるほど、正しい答えを得るのは難しくなります。
まさに『多岐亡羊』ですね。
この四字熟語が出来たのは、中国の春秋戦国時代にまでさかのぼります。
思想家であり、個人主義であった楊朱(ようしゅ)が言いだしました。
羊を逃した隣人の様子を見ていて、はたと考え込んだそうです。
分かれ道があまりにも多いために羊を逃したか、、、
そうか。学問の道も同じだな。
あまりにも多方面にわかれていて、そのつどあっちへこっちへ勉強するから、その分野の真理に到達しがたいんだな、、、と。
学問が細分化されすぎていて、末筋にこだわるあまり、根本を見失いがちだということ。
あるいは、方針が多すぎてその選択に迷うこと。
こんなふうに、あれかこれかと迷う状況を指す言葉です。
例えば、、、
優柔不断な人に、そんなに羊を追っかけていると見失うぞ!
と使えそうですが、、、
まぁ、相手からすれば、はい????となるでしょうね。