日本の風習

『創られた伝統』を加速させる現代の年末年始


From渡辺知応

 

必ずしも伝統的ではなかった初詣や初日の出が、あたかも遥か昔からある『伝統行事』と位置づけられています。

つまり、これらは『創られた伝統』の一つと言えます。

この『創られた伝統』がダメだという事を言いたい訳ではないのですが、問題は、、、
現代の初詣や初日の出が、昔から変わらない日本の『伝統』や『風習』だと認識されている点です。
つまり、多くの人は正しい『伝統』や『風習』という事実を認識していない点だと思います。

時代の変化により、変わる事はどの時代にも起こる事で仕方がないと言えば、仕方がないと思います。
これには、近代の交通の発展やマスメディアの影響も考慮しなければならないと、日本の民俗学研究者、岩本通弥氏が以下のように言っています。

 

たとえば「ゆく年くる年」というテレビ中継で、除夜の鐘を鳴らす寺院の静寂が、午前0時を過ぎると、一転して参拝者で賑わう初詣の光景が放映されるようになると、私たちはこれでしか年の変わり目を意識できなくなっていく。

(出典:初日の出考/岩本通弥)

除夜の鐘については、別の機会に詳しくご説明しますが、、、

年越しから年明けに行われている行事にはそれぞれ意味があり、本来はそれぞれが独立していました。
しかし、現代ではそれら全てがセットになって、年越しから年明けの行事と認識されていますよね。

これらの事実を現代に生きる私たちが今一度考えると、、

初詣や初日の出に出かけなくても、テレビやインターネットを見れば、正月らしさという『伝統』が味わえる事になった。という事ですよね。

周りの皆がやっている事をあたかも自分で体験しているような関わりを持つ事で、『伝統らしさ』に浸る事が出来る現代になったという事ですよね。

私はこれが決して悪いと言っているわけではありません。
この変化こそ、現代の日本人が生み出した、現代のお正月なので、これはこれでOKだと思います。

むしろ、昔のように家に籠って歳徳神様になったご先祖様の融合体をしっかり待たなければいけない!と声を大にしても現代の人の心にはそこまで響かないでしょう。

なるほどね。。。と思いながらも、きっと昨年通り初詣や初日の出にでかけるでしょう。

しかし、この『本来のお正月の由来』を知る事によって少なからず気持ちに変化が起きると思います。

例えば、人が賑わう初詣や、今年一番目の日の出を見た時に、『今年の抱負』を心に留めるはずです。

その際に、ふとご先祖様の事を思い出し、、、
自分が今ここにいるのはご先祖様のおかげなんだ、、、

と思い出していただくきっかけになるのでは、、、と思います。

自分のルーツを再認識する良い機会です。
初詣や初日の出を上手く活用してみて下さい。

って、、、今更言っても少し遅いですよね。。。

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