日本の風習

どうして正月が『めでたい習慣』となったのか?


From:渡辺知応

 

前回は、『正月は盆と同様に先祖の供養をする行事だったが、仏教との深い関わりにより、盆は死者を祀る『凶』の習慣となり、逆に正月がめでたい『吉』の習慣となった。』という事をお伝えしました。

では、どうして正月が『めでたい習慣』となったのか?

まず、めでたい習慣となる前は、、、

平安時代に歳徳神様(年の初めに1年間の福をもたらす神様)の存在が認知されてきてからも約1000年間くらい…
江戸時代の半ばくらいまでは、お正月に先祖供養をしていたそうです。

お盆にお盆棚を設けるのと同様、お正月にも正月棚(年棚や歳徳棚とも呼ばれています。)を設けて、忌み籠る(いみこもる:けがれたものに触れないようにある所に閉じこもる。という意味です。)習慣がどの家庭でも行われていました。

つまり、お正月は何もせずに、ご先祖様を家族みんなでお迎えし、供養していたそうです。

しかし、江戸時代の後期にかけて、都市部ではこの習慣が薄れていったようです。

家にこもる習慣から、自ら縁起の良い方角にあるお寺や神社へお参りに行く、恵方参りがブームとなりました。
不浄である『死』とは対象的に、『生』である福にあやかろうと考え方が変化したようですね。

宗教学者の石井研士氏は自身の著書にて以下のように説明しています。

 

恵方参りは、必ずしも元旦に行うものでなく、またその寺社の最初の縁日に、初参りを行う場合もあったが、近代に至って、太陰太陽暦から太陽暦に改暦されると、同じ年の改まる機会(節分)であった立春の重要性が低下する一方、元旦がその重みを増して、年の初めとしての「めでたさ」がより強調され、初詣が生成されていく。

(出典:初詣と七五三/石井研二)

なるほど。
いつの時代も、多くの人が動く方向に時代の流れが決まっていくのですね。

さて、今回のお題である『どうして正月が『めでたい習慣』となったのか?』をまとめると、、、

本来は、お正月が「めでたい」のではなく、暦によって縁起の良い方角や、その年のお寺や神社の初めての縁日が「めでたい」訳だったが…
暦の改正により、季節のスタートや初めの縁日の重要性が低下して、年の初めの「めでたさ」が強くなった。
これが初詣の由来であり、風習の始まりだったとは…

言われてみれば、『あー。確かにそうかも…』と思う節もありますが、、、

現代では『どうして正月はめでたいのかな?』と疑問に思う人はいませんよね。

まぁ、誰かに言われなければ気が付きませんよね。

本来のお正月はお盆と同様、先祖を供養をする日。
私もこの風習を初めて知った時は『マジかー!知らなかった…』と思いましたね。

では、初日の出はどうなのでしょうか?
次回は、年初めの日の出を待つブームはなぜ各地で起こるのか?
この現象を紐解いていきたいと思います。

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